京都千年天文街道

天文と歴史のツアー開催中

 主催: 認定NPO法人花山星空ネットワーク
 共催: 京都大学大学院理学研究科附属天文台
 後援: 京都府教育委員会 、京都大学総合博物館、京都市教育委員会
 協力: 京都情報大学院大学、恒星社厚生閣

京都千年天文学街道とは
京都千年天文学街道とは?


京都というまちは言うまでもなく様々な文化遺産を保有していることで有名ですが、 皆さんは、京都が天文学に関する貴重な記録や史跡の宝庫であるということは ご存知でしょうか。

京都の歴史と天文学が古くから関係しているという事実は、あまり知られていません。そこで、NPO法人花山星空ネットワークが主催となり、天文学を柱として、京都の史跡を巡りながら京都での千年の時を超えた天文観測と天文学のつながりを学ぶ「京都千年天文学街道ツアー」という観光ツアーを開催しています。なお、本企画は、平成22年度の総務省、情報通信技術地域人材育成・活用事業による支援を受けて実現しました。

ただ史跡を巡るだけではなく、京都大学花山天文台の施設を巡るツアーなどがあり、最先端の天文学に触れることができます。

天文学という新たな視点から、京都のまちを一度覗いてみませんか。





京都千年天文学街道という名前の由来


「京都千年天文学街道」という一風変わった名前、この由来を説明します。
 話は、小倉百人一首の選者・藤原定家が記した『明月記』の客星(もともと星が無かったところに突然現れる星)の記録、その中でも西暦1006年に現れた超新星を、京都大学小山名誉教授が注目したことから始まります。
 超新星は、例えば、太陽の8倍以上の重さの星が、一生の最期に起こす大爆発によって明るく輝く現象です。この爆発を超新星爆発と呼び、また、爆発によって星の外層が時間とともに宇宙空間へ拡がったものを超新星残がい、と呼びます。超新星残がいは、主に陽子(水素イオン)が加速されて高エネルギー粒子(高速の陽子)となる粒子加速の現場と考えられており、最新天文学の研究対象の一つとして注目されています。小山名誉教授が京都大学で行っている研究の主要なテーマの1つでもあり、粒子加速の観点から、超新星が現れたちょうど1000年後の2006年を節目として、小山名誉教授が観測しました(左下のチャンドラ衛星によるX線写真、著作権:NASA/CXC/Middlebury College/F.Winkler)。
 『明月記』に天文観測の記録が残っているのはなぜか?それは、日本では古来より、中国伝来の天人相関説(天体の動きと人間の営みが互いに関係するとする説)の観点から政治において天文観測が重視されてきたためです。実は、『明月記』には、超新星の記録として全部で3例(残り2例は1054年(現在の「かに星雲」)と1181年)が、確認されています。1つの文献に3例の超新星記録が記載された古文書は世界でも他に例がなく、この事実をアマチュア天文家・射場保昭氏がアメリカの天文雑誌「Popular Astronomy」で紹介したことで、今では、天文学者の間で明月記の天文学的な価値が広く知られています。なお、オールトの雲で有名な天文学者オールト博士が、1054年の客星が「かに星雲」(右下のハッブル宇宙望遠鏡による写真、著作権:NASA, ESA, J. Hester and A. Loll)の元となった超新星であると同定しました。
 そうしますと、京都で、平安時代に超新星が観測され、その記録が記された古文書『明月記』が1000年の時を経て冷泉家(藤原定家を輩出した公卿)で大切に受け継がれ、超新星爆発から約1000年後の現在、京都大学で最新天文学研究の対象となっている、ということになります。端的には、京都を舞台として、『明月記』を介して、1000年の時を越えて、いにしえの天文観測と最新天文学がつながっているとも言えます。
 ところで、京都には長らく都がおかれていたので、天文観測記録や天文関連史跡が数多く残っています。実際、京都で天文学関連遺物や史跡を調査するとどうなのか?今出川通には、『明月記』を代々受け継ぐ冷泉家、『明月記』を記した藤原定家の墓所がある相国寺、天文学を世界的にリードしている京都大学吉田キャンパスがあります。また、堀川一条付近に、「天文博士」安倍晴明を祭る晴明神社、一条通を西へ進めば星や陰陽道にまつわる大将軍八神社があります。なお、大将軍八神社には、日本独自初の暦「貞享暦(じょうきょうれき)」を江戸時代に作成した渋川春海(安井算哲)自作の天球儀が現存しています。南下すれば、西三条天文台跡地に建つと言われる月光稲荷、さらに南下すると安倍晴明の末裔の公卿「土御門家」屋敷跡に梅林寺や円光寺(いずれも非公開)があります。梅林寺には宝暦暦(ほうれきれき)作成者の土御門泰邦の名が刻まれた圭表(一年の日数を観測する装置)の台石が、円光寺には渾天儀(星の位置を観測する装置)の台石が現存します。また、京都大学吉田キャンパス近くには、「安倍晴明蘇生之図」を所蔵する真如堂、安倍泰親(晴明の5代目孫の天文博士)に関わる九尾の狐の「殺生石鎌倉地蔵」、清水寺の上の花山山にはアマチュア天文学の聖地である京都大学理学研究科附属花山天文台が、山科側の麓には安倍晴明が関わったとも言われる花山天皇退位の現場となった元慶寺があります。このように、京都には天文関連遺物や史跡が数多く残っており、同じ通りの近くに点在するものも数多くあるのです。
 そこで、「京都」での「千年」の時を越えた「天文学」のつながりを、「街道」でつなぐことができることから、小山名誉教授が「京都千年天文学街道」と提案しました。この提案を元に、2010年に情報通信技術地域人材育成・活用事業(平成22年度総務省事業)の支援を受けてコンテンツ整備などを行い、まちあるきツアーとして2011年度から開始したのが「京都千年天文学街道ツアー」なのです。なお、小山名誉教授が天文博士として随伴するツアー設定日もあります(スケジュールをご覧下さい)。



ICT機器の活用

 ツアー中、iPadを持ち歩きますので、その資料を見ながら、歴史文化資産や天文コンテンツを見ながら、知識を深められます。
 また、アストロトークの後半の4次元宇宙シアターでは、天文学3D映像を立体的に見ながら、最新天文学に基づく宇宙の姿を直感的に知ることができます。


  


ツアー関係団体・企業リンク先
主催 認定特定非営利活動法人花山星空ネットワーク
共催 京都大学大学院理学研究科附属天文台
後援 京都府教育委員会
京都大学総合博物館
京都市教育委員会
協力 株式会社ヒーロー
株式会社シティプランニング
株式会社社会システム総合研究所
京都情報大学院大学
恒星社厚生閣

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